郵便局へ出かける。
正しく腰掛け、静かに、あちこち見回す事無く、行儀よく待っていた。
その日の夕方、六時頃。チャイムの音にドアを開けると
局員の人が立っていた。
うやうやしく封筒を差し出す。大金が入ってるのかとびくびくしながら
受け取ると、出て来たのは十円玉。
どうも私が座っていた椅子に10円が落ちていたらしい。
10円のために家まで持って来てもらうなんて、
申し訳ないやら、嬉しいやら、恥ずかしいやら複雑な心境だ。
しかし、どう考えても十円を落とす状況は考えられないが
ここは優しい気持ちを頂く事にしよう。